“化石怪獣ステゴン”編 |
キットを離型剤落とし(レジンウォッシュ)に一晩浸し、
中性洗剤とクレンザーで洗浄します。
乾燥後、パーティングラインを整形しますが、
この時にリューターを使うと大変効率的です。
段差が激しい時は無理に削らず後でパテ埋め処理をします。
2)接着
使用する接着剤はエポキシ系接着剤「マジックスムース」です。
市販のエポキシ系接着剤と扱いは同じでA剤、B剤を同量混ぜ合わせます。
すると何とか牧場の生キャラメルみたいな色と粘りになりますので、
接着面に塗布します。硬化速度は遅いので慌てる必要はありません。
一度剥がしてみて接着剤が付いてない部分がないか確認します。
もし発見したら接着剤を塗り直してください。
接着剤がはみ出しても直ぐに拭き取らず完全硬化まで待ちます。
位置が決まったら隙間に瞬間接着剤を流し込みますが、あくまで一時的に
パーツを固定するだけですので少量で十分です。
3)下地塗装
下地塗装にはいつも傷がよく分かり塗膜も強いソフト99のボディペン:プラサフを使いますが、
今回は基本色が黒とシルバーなので大阪プラスチックモデルから発売されている
“フィックスプライマー”を使ってみます。
艶消しクリアーは透明レジン成型の目に、
艶消しブラックはボディ全体、頭部裏側です。
この“フィックスプライマー”はホワイトメタルやABS樹脂にも使えますので
重宝しますが、ガス圧が高く高額な割にすぐ無くなるのが難点・・・・。
4)眼球パーツの修正
眼球パーツ(透明レジン)ですが、なぜかパーティングラインが瞳のど真ん中に・・・・(汗)
お手数ですが400〜600番位の耐水ペーパーで丁寧に消してください。
瞳は筋彫り無しの凸モールドで表現していますので勢い余って潰さない様に。
さて電飾を点灯していない時のステゴンの目は画像の様に暗い色を
してますので、Mr.COLOR 47(クリアーレッド)で塗装しました。
が、この色、どうも廃盤になった様です。
別売で電飾パーツ(赤LED)も用意していますので劇中のステゴンを
表現したい方は、是非同時にお買い求め下さい。
5)マスキング
塗り分けや塗装したくない部分をマスクします。
今回は歯の部分をサフレス塗装したいのでマスクゾルを塗って保護。
マスクゾルは乾燥するとゴム状になるので剥がしやすく大変便利ですが、
筆にそのまま浸けて塗るとゾルが取れなくなり筆をダメにします。
必ず左の“マスクゾルクリーナー”に一度筆を浸し、少し扱いてから
ゾルを使用しましょう。
使った後は水洗いで簡単に洗え、筆も傷みません。
6)電飾パーツの取り付け〜塗装
クリアレッドで塗装した眼球パーツにLEDを瞬間接着剤で取り付けます。
光が漏れるのを防ぐためクリアパーツの裏側をシルバーで斑のでない様に塗装しますが、
この時画像の様にLEDの発光ダイオード(基盤より後ろ)も同時に塗ってください。
取り付けて順は先ず頭部周辺、口の中の工作、塗装を終わらせ(顎の取り付け〜塗装)、
リード線を首に通してスイッチを接着します。リード線は長めに作ってますので適度な長さに
束ねるかカットして下さい。調整が終われば首の上半分を接着します。
当然の話ですが接着面の塗料は剥がしておきましょう。
7)下地塗装
本来は99プラサフ、またはプライマーを吹いた後サーフェイサー(グレー)で
塗装しますが、今回は上でも紹介したフィックスプライマーを使います。
乾燥が早くモールドも埋めず塗膜も丈夫・・・・ではありますが、
どうも30センチクラスの怪獣なら2体分程しか塗れない感じです。
8)首の取り付けとパテ埋め
電飾をする場合はここを外して点灯のON OFFと電池交換をしますので接着しないでください。
また首を本体に取り付けた時、※矢印の部分が開いてしまう様なら差し込み口に負荷が
架かっている可能性があり、接着後開いてしまうので/////の部分を調整しながら削ってください。
位置が決まったら隙間をチェックしてエポパテで埋めます。
ここは取り外しが出来ないといけない部分ですので、首側の接合面に
メンタムを薄く塗り、硬化したパテがくっ付かない様に下処理をします。
胴体側の隙間がある部分に適量のエポパテを盛り付け首を押し当てます。
先をほぐした爪楊枝ではみ出したパテを取り除き、モールドを入れます。
これで電飾用に差し込み式にした首の繋ぎ目はほとんど目立たなくなるはずです。
最も電飾の様な付加価値の為に外観を損なうのは、リアルさを追求する
ガレージキットの趣旨からも外れてしまうので、ここは原型の段階から気を使いました。
そこで間着部分がガタ付かない様に差しシロを作ったり、境目が分からない様
下になるモールドの上から更にモールドを被せる形状も施しました。
これにより完成後も接合部はそれほど目立たず気にならないと思います。
下処理で塗ったメンタムはそのままだと塗装が乗らないので、
綿棒に薄めた中性洗剤を付け丁寧に拭き取って下さい。
9)基本塗装
ステゴンの骨部分はシーボーズと同じホワイトパールと思われますので、
WAVEのHGホワイトに造型村のホワイトパールパウダーを入れて塗装します。
この時モールドの凹み部分に小さな固まりが出る様でしたら、
塗料にリターダーを入れて調整しましょう。
この固まりが出来る原因は、エアブラシで吹いた塗料が本体に付着する前に
乾燥してしまう為に起こります。
リターダーで乾燥時間を長くしてやれば解消されます。
因にモスラの繭みたいな糸が出るのは塗料が濃いためです。
シンナー薄め液で稀薄してやりましょう。
軽く吹き上げ塗装します。感じではこの色がドンピシャって感じです。
乾燥したらエナメルクリアーのオレンジ、レッドのウォッシングで
色のアクセントを付けます。
10)基本塗装(その2)
次に皮膚の黒い部分の塗装です。
丁寧にマスキングをしてエアブラシで仕上げる方法もありますが、
ここではエナメル塗料を使い、マスキング無しで仕上げてみます。
最も私が怪獣を塗装する場合、エアブラシは全体の2〜3割程度しか使用せず、
その殆どを筆を使ったエナメル塗料の重ね塗りで仕上げています。
使用する色は、黒、白、赤、青、黄、茶色、それにフラットベースです。
これをパレット上で混ぜ合わせ、多彩な黒を作り塗って行きます。
泣き止めを作ります。
これにより下の塗装を侵す事無く、エナメル塗料による重ね塗りやドライブラシが
可能になる訳ですが、この一連の処理をオーバーレイと呼びます。
はみ出した部分はエナメルシンナーで筆や綿棒を使って拭き取ります。
■オーバーレイの断面図
11)フィニッシュ
ドライブラシで凸モールド部分を浮き上がらせます。
この時も単調な色にしないで色んな色を混ぜて変化を出します。
ポイントはドライブラシ専用の筆を使い、白を多めにし塗料が乾いた状態で
こすりつける事です。
全体が完了したら最後にもう一度スーパークリアー艶消し(182番)を
吹き付け艶を整えます。
牙の部分はツールウォッシュ(シンナー)で塗料を全て剥がし、
レジンをむき出しにします。
リアルな歯を表現出来る様、成型色をアイボリーにしているのはこの為で、
根元部分に薄くクリアーオレンジ+クリアーレッドを塗ると更にリアルになります。
完全に乾燥したら水性クリアーで光沢を出し完成です。
12)最後に
ここ迄の作業日数は約4、5日といった感じで、
それほど細かい作業や手間はかかっていません。
確かにクルマや飛行機といったスケールキット等は
緻密な工作と繊細な塗装を要求されますが、
怪獣のガレージキットは基本的な組み立てが出来れば、
後は自分のイメージを大切にして、大胆且つ自由に
塗ってしまえばいいと思います。
ガレージキットは完成させてこそ価値が出るもの。
工作上分からない事がございましたらアドバイスもさせて頂きますので、
ご遠慮なくお尋ねください。