30cmウルトラ怪獣シリーズ No.16 『エリ巻恐竜ジラース』 |
二階堂教授=(モンスター博士:中村博士)はスコットランドのネス湖から
持ち帰った恐竜(ジラース)の卵を自分の別荘内にある研究室で孵化させ、
そこから15年の歳月を費やし北山湖で身長45メートル、体重2万トンに
まで成長させました。しかしそれまでモンスター博士の言い付けを忠実に
守り昼間はじっと眠っていたお陰で発見されずに過ごしてきたジラースも、
釣り人が北山湖に散布したカーバイドに苦しみ白昼上陸してしまったため、
この世紀の大発見は悲しい結末を迎える事になってしまいます。
この様にジラースは劇中の行動から推察してもかなり知能の高い恐竜である
と考えられますが、それがなぜ育ての親でもある二階堂教授を踏み殺してし
まったのか?それは恐らくムラマツキャップにプライドを傷付けられ、
反論するつもりで外してしまった中村博士のマスクが原因であると考えられ
ます。つまりジラースは自分に向かってくる二階堂教授の顔は一度も認識し
ていないので敵と判断したものと思われ、また科特隊の攻撃で極度の興奮
状態に陥り、通常なら鋭いはずの嗅覚も麻痺してしまったのも要因ではない
かと考えられます。
中村博士のマスクを取ってしまうと自分は別人になる事を忘れてしまった
二階堂教授の判断ミスが、不幸な結果を招いてしまったという訳です。
このキットにはオマケとして中村博士の姿をした二階堂教授の1/30
スケールフィギュアがセットされていますが、悲運の恐竜博士として
ではなく堂々と学会にジラースを発表する栄光に満ちた姿を想定して
造型いたしました。彩色し完成させた暁には、どうかジラースに踏み
潰さない安全な位置に飾ってあげてください。
■ジラースのぬいぐるみ〜その改造経緯と末路〜
今更説明する必要もありませんが“エリ巻恐竜ジラース”は東宝の
ゴジラのぬいぐるみを改造したもので、使われたのは“モスラ対ゴジラ”
('64)(通称:モスゴジ)の首から下の胴体部分と、“怪獣大戦争”
('65)(通称:大戦争ゴジ)の頭部を合体し造型されています
(改造は東宝特美)。しかしこのぬいぐるみはジラース製作のために
改造されたものではなく、66年4月から上野赤札堂デパート(現:ABAB)
で開催された『ゴジラ怪獣展』に展示されたぬいぐるみであり、
展示終了後は東宝に返却され8月の『謎の恐竜基地』の撮影開始に間に
合わせるべく、再度東宝特美にて改造作業が行われました。
この改造作業は当時まだ東宝に在籍中の開米栄三氏の指揮のもと村瀬継蔵氏
が行い(佐々木明氏説は間違い)、増設したエリ巻きはもちろん後頭部の
鱗の大きさや数、口元や頬にも手が加えられています。
撮影終了後、直ちに頭部はアンコ(ウレタン)を抜かれ首や肩がやや細身
になった大戦争ゴジに戻され『南海の大決闘』('66)版ゴジラとして登場。
モスゴジ胴体はゴメスに改造された『地球最大の決戦』('64)(通称:
地キ最ゴジ)の頭部が付けられ、海ゴジラとして最後の役目を果たしてい
ます。余談ですが大戦争ゴジやジラースの瞳の周りにあるオレンジ色が、
南海ゴジラでは薄い黄色に変色しています。これはジラースの水中撮影
で屋内プールの塩化石灰や強い照明により退色したもので意図的に彩色
された訳ではない様です。
何れにしても円谷英二氏の力でウルトラマン対ゴジラという夢の共演が
実現した訳ですが、放送翌日(昭和41年9月19日)の小学校は話題騒然!
私も含め当時の怪獣少年たちが狂喜乱舞したのは言うまでもありません。
※補足)人型対怪獣という対決の構図は『フランケンシュタイン対地底怪獣』
('65)が代表作ですが、これの元ネタが1964年、馬淵薫氏によって書かれた
『フランケンシュタイン対ゴジラ』です。円谷英二氏はこの幻となってしまっ
た企画から2年後、フランケンシュタインをウルトラマンというスーパーヒー
ローに置き換え、ゴジラと戦わせる事によりこの企画を甦らせた・・・
とも言えるのではないでしょうか。
◎キット概要ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●完成サイズ:全高34cm(頭頂部まで30cm)
●レジンパーツ数:ノーマル32個+クリアパーツ7個=計39個(※3特典含む)
●付属品:ネオジウム磁石1個、平頭ネジ2本
●眼球用ヒートプレスレンズ左右一式(透明塩ビ製)
●瞳デカール付き(マイクロドライ印刷)
[初版特典]
※1)選択式の腕2種(腕を広げたポーズと脇を閉めたポーズの再現が可能)
※2)オープンマウス&クローズマウスの顎2種付(ネオジウム磁石で脱着可能)
※3)モンスター博士(1/30スケール)付
[2014年4月発売:(C)1966円谷プロ]